【意外と知らない実務者研修を学ぶ本当の意味】ここまでお伝えしてきたように、実務者研修の修了によって得られるメリットは、介護福祉士国家試験の受験要件の一部を満たすことでもあります。
同時に、実務者研修を受講される方の中には、介護福祉士国家試験の合格を目指している方が沢山いることも知られています。
しかし、ほとんどの方が介護福祉士の国家試験に出題される問題が、実務者研修のテキストから出題されていることを知らないのです。介護福祉士養成施設で、介護福祉士の養成に使用しているテキストは、当然のごとく介護福祉国家試験に出題される全ての問題に対応できるような内容になっていますが、冒頭でもお伝えしたように、厚生労働省が示している実務者研修の到達目標の一つに「介護福祉士養成施設(2年以上の養成課程)における到達目標と同等の水準」と謳われています。
つまり、実務者研修で使用されるテキストは、介護福祉士の養成に使用しているテキストに準拠しているため、実務者研修を学ぶこと自体が介護福祉士の受験対策に繋がっていると言えるのです。しかしながら、この大事な事実を知るのは、介護福祉士の受験対策をしている時だったりするのです。介護福祉士の受験対策講座などで、担当する講師から「実務者研修のテキストを全て理解していれば高得点が取れますよ」と言われた時にはじめて「もっと実務者研修を真剣に取り組んでおけばよかった」と思われる方や、実務者研修のテキストや通信添削課題を見直したりすることが多々あります。
実際に実務者研修の授業を受講している時に、実務者研修の勉強が介護福祉士の受験対策に繋がると、はっきりと自覚している方も少ないのが現状です。
自分が通っている学校の実務者研修のシラバスやカリキュラム、通信添削課題(約405時間分の内容)が、介護福祉士の受験も想定して作成されているかは、学校により異なります。
これらのことは、実務者研修の学校を選ぶ際に、必ずチェックすべきポイントです!【同じ実務者研修の資格でも学校によって内容は異なります!】実務者研修の研修実施機関(学校)は、各都道府県知事の指定を受けて開催していますが、同じ都道府県知事の指定を受けている実務者研修でも、実施している学校が違えば内容も異なります。
テキストなどは数種類しかありませんが、テキストが違うだけでも内容はだいぶ異なります。同時にテキストが違えばテキストをもとに作成されている通信添削課題の内容も異なります。
当然のことではありますが、学校によって実務者研修のシラバスを作成する責任者も異なりますから、同じ実務者研修という資格でも学校によってかなり異なるでしょう。
【実務者研修の学校を選ぶ際の参考になるポイント】①テキストに関してどの出版会社のテキストを採用している学校なのかを調べることは、学校選びのうえで参考になります。
実務者研修のテキストを出版している会社は主に以下の3社が挙げられます。
1.
中央法規出版株式会社2.
一般財団法人 長寿社会開発センター3.
日本医療企画この中でも、注目すべきは1番の中央法規出版です。理由としましては、上記の中で中央法規出版だけが介護福祉士を養成するためのテキストを作成し、多くの介護福祉士養成施設で採用されてきたノウハウと実績があります。
介護福祉士を養成するためのテキストは、介護福祉士養成施設で2年以上の養成課程に対応した内容になっているため、相当の量と質が担保されていなくては成り立たないと言えます。また専門学校などで採用されるという教材の位置づけも注目すべきでしょう。学校教育法で定められた研修であり、国家資格である介護福祉士の養成の柱となる教材は行政からのチェックなどにも耐えうる内容にするため、教材開発者も錚々たる学識有識者や教材を作成した後の管理体制なども確保しているといえます。
介護福祉士養成課程が基となって、実務者研修の研修要綱が策定されているので、介護福祉士を養成するテキストを出版するだけのノウハウと実績がある出版会社が作成する実務者研修のテキストは、信頼性も高いと言えます。
そういったテキストを採用して、実務者研修を開催している学校であるか否かという点は、実務者研修の学校を選ぶ上で大事なポイントといえるでしょう。
➁通信添削課題に関して上記のテキストに付随する内容になりますが、通信添削課題は実務者研修の実施機関が採用するテキストに加え、国の定める要綱を基準にし独自のカリキュラムに照らし合わせながら作成しています。
そのため、同じテキストを採用していても通信添削課題や授業の内容は異なってきます。
良くも悪くも、学校それぞれの特色があると言えます。
ここで大事なことは、その通信添削課題の内容がどのようになっているかという点です。
国の定める実務者研修の到達目標を、それぞれの学校がどのように解釈して、実務者研修のカリキュラムを作成しているかということが大きなポイントになってきます。
③授業内容に関して未だに実務者研修の学校で提供される授業で、介護技術を学ぶような授業を提供している学校がありますが、実務者研修で通信添削課題では対応できない、対面での授業時に行われる内容は介護過程の展開です。
「介護過程の展開」の授業では、介護職員初任者研修や介護現場で習得してきた知識や技術を、一人ひとりの介護サービス利用者の状態に合わせて、最適なサービスを提供できるように「考える力を養う」ことに重点を置いた内容が求められます。
一人ひとりの利用者に提供するサービスを最適化できるように、今まで培ってきた点と点を結び合わせていけるように「考える力」は、学校にて対面の授業で養うのであって、「点と点」となる知識や技術的なことは、通信添削課題に置き換えることができるのです。
このような理由から、学校で行われる授業内容は、講師から一方的に情報をインプットしていく授業や、今までの実技授業の延長線上のような授業内容ではなく、これらを繋ぎ合わせあられるように考える力を養うために、事例をグループワークなどで検討しアウトプットも必要とされる参加型の授業が望ましいと言えます。
こういった授業であるため、本来の実務者研修の授業は頭をフル回転させていくことが求められますので、集中力を切らさない程度の頻度や時間割である必要があります。
【目先のことに捕らわれないで、学べる環境を選びましょう】
実務社研修を簡単に早く取得コースや学校も否定はしませんが、せっかく時間やお金、労力を使うのなら、それ相応のことを学べる環境で、国が定める到達目標をしっかりと達成することで、将来待ち受ける介護福祉士国家試験にも、介護福祉士になった後のキャリア形成をも、充実したものにしていけるはずです。